新型コロナ(COVID-19)の感染経路不明の割合と無症状者の実効再生産数

細かい計算の話題が続いていて元の考え方の説明が埋まってきてしまったので、ここで一回まとめておきます。

最初は東京都が発表しているデータで、感染経路不明の割合がだいたい一定の値になっていたのが不思議だったため考え始めたアイディアになります。

感染経路不明の感染者が出続けていることから、検査で捕まっている感染者の他に「未確認キャリア」が全体の中の q という割合で存在すると考えました。「未確認キャリア」は発症していたら捕まるはずなので、おそらく無症状と推測されます。
この「未確認キャリア」が伝染す実効再生産数を Ra、検査で捕まる感染者が伝染す実効再生産数を Rs とします。Ra は Rs に比べて小さな値かもしれないし、大きな値かもしれませんが、一般的に異なる値とします。Ra と Rs の効果が合わさって、全体の実効再生産数 (R) となります。
感染者の中の無症状者の割合を p とした時、一つの世代が次の世代に伝染すのを図で表すと以下のようになります。

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# 図中のpと1-pが入れ替わっていたので訂正しました。

充分に時間が経過してそれぞれの比率が一定の値に収束した定常状態を考えると、感染経路不明者の割合と全体の実効再生産数(R)から、Ra と Rs がそれぞれ R に比例する形で求まります。

実際に計算してみると Ra は Rs の 5倍程度の値となります。発症する場合、発症前二日間ほど無症状だけど人に伝染す期間があると言われています。発症した後は、通常は自己隔離するため、それ以降人に伝染す可能性は下がります。
新型コロナウィルスの場合、唾液による飛沫感染と言われています。唾液によるPCR 検査では、発症後九日間以上経つと、唾液中のウィルスの量が減少して感度が悪くなると言われています。もし無症状の場合も移す仕組みが発症者と同じで
症状が出ていないだけとすると、2+9日の間、人に伝染する期間があることになります。
この比率はだいたい 5 程度であり、無症状者の実効再生産数が高い理由は、無症状者が社会に滞留しやすいからと考えられます。