新型コロナの感染経路不明者の割合の過渡的な変化を説明してみた

今回は感染経路不明者の割合の過渡的な変化が説明できるか見てみます。以下は東京都が発表している感染者数などをグラフ化したものになります。

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東京都の感染者数のグラフ

第二波の最初の頃を見ると、7月から感染経路不明者の割合が40%の状態から上昇して60%に収束する動きがみられます。
最初の状態では、感染者は新宿区の接待を伴う飲食店に集中しており、新宿区が集中的にPCR検査を行っていた時期になります。この状況では感染者を効率良く検査で捕まえることができるため、q(追跡検査では捕まらない無症状者の割合)が下がっていることが考えられます。そこで検査で捕まる感染経路不明者の割合が40%になるようにqが下がった後、市中感染が広がって感染経路不明者の割合が60%に上昇したと仮定して、どのようなグラフになるか計算してみます。

p=0.5, k=5の条件感染経路不明者の割合が40%となるqを求め、そこから前回までの計算を使って
  Ns(k+1), Ns(k+2), Ns(k+3), ...
  Nas(k+1), Nas(k+2), Nsa(k+3), ...
  Naa(k+1), Naa(k+2), Naa(k+3), ...
から各世代の感染経路不明者の割合を出します。詳しい計算は省略しますが、結果的に感染経路不明者の変化はkpに依存し、kとpのそれぞれの値には依存しない結果となります。

世代毎の値を時間軸に当てはめるため、Serial intervalを6日とします(グラフ化する都合上整数値を使用)。
結果のグラフを以下に示しますが、概ね実測値に合う結果が得られました。

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感染経路不明者の割合の実測値と計算値